【第143回】報道異変

最近のテレビや新聞の報道が何かおかしいと皆さんは感じていないだろうか?
2010年9月7日の朝日新聞の記事に驚いた。「小沢ショック」が日本の長期金利の上昇をもたらしたというのだ。
以下の記述に関して筆者は小沢氏を擁護する立場にはないが、最近の報道のゆがみを説明するのにいい題材(実は山ほどあってきりがないが)なので以下の報道を考察してみたい。(以下引用)


長期金利、一転上昇 米景気「小沢ショック」が翻弄

住宅ローンの固定金利などに影響を与える長期金利が急上昇している。6日は一時、年1.195%を付け、2カ月半ぶりの高水準になった。8月に一 時、1%の大台を割り込み、7年ぶりの低水準になったばかりだが、その後、低金利の背景にあった米経済の減速懸念が緩和。民主党代表選に小沢一郎前幹事長 が出馬を決めた「小沢ショック」も加わり、長期金利が反転している。

6日の東京債券市場で、国債は4日連続で価格が下落(金利は上昇)。長期金利の代表的な指標とされる新発10年物国債の流通利回りは、午後2時過ぎに一時、前日終値よりも0.05%幅高い年1.195%をつけた。6月22日(一時年1.215%)以来の高水準だ。
長期金利は8月4日に7年ぶりに心理的な節目になる1%の大台を割り込み、更に8月25日には一時、年0.895%を記録したばかり。歴史的な低金利からわずか半月で約0.3%幅も上昇した。

金利が乱高下している背景にあるのは、市場の米国経済の先行きに対する見方が「楽観論」と「悲観論」の間で大きく揺れているからだ。

米国の住宅や雇用などの分野で、景気減速を示す統計が相次いで発表される中、米連邦準備制度理事会(FRB)は8月10日、追加の金融緩和に向けてかじを切る姿勢を表明した。一気に悲観論が強まり、米国の長期金利が8月上旬以降急低下。日本の金利も下落した。

ところが、9月1日に発表された8月の米製造業景況指数は前月比で改善。3日に発表された8月の米国雇用統計も、市場が想定していたほど悪化しな かった。「米欧経済への過度な悲観論をベースにした長期金利の急低下局面は、既に一巡した」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)とい う。

さらに、最近の金利上昇に拍車をかけているのが、「民主党代表選に小沢氏が立候補する『小沢ショック』」(日興コーディアル証券の野村真司チーフ債 券ストラテジスト)だ。市場では、財政赤字拡大につながるマニフェストの忠実な実行を表明している小沢氏が首相になれば、菅直人現首相よりも国債の発行額 が増えるとの見方が多い。そうなれば、国債を売りづらくなり、価格が下落(金利は上昇)するとみられている。

実際、小沢氏が正式に立候補を表明した翌日の8月27日は、前日の米国金利は下げていたのに、日本の金利は逆に上がった。立候補を届け出た9月1日も、米金利の下落に同調せず、日本の金利は上昇した。

「14日の民主党代表選までは、小沢氏と菅氏のどちらが勝つかが材料視される展開が続く」(証券会社ストラテジスト)とみられている。

以上、2010年9月8日asahi.comよりより引用


この記事のどこがおかしいのかと言うと、ニュース記事、しかもただの“長期金利が上昇した”という経済記事が事実とは無関係な「小沢ショック」が原因で長期金利が上昇したと、思いっきり悪意丸出しの主観が入っているからである。
筆者は一瞬、小沢嫌いの個人の掲示板への書き込みか?と思ったくらいである。

最近(民主党が政権を取ってからは特に)、新聞やテレビの報道がおかしい。トップニュースのプライオリティが民主党および小沢バッシングに偏向して いるし、そのようなバッシングのニュースを民放全局が同じ時間に同じプライオリティで同じニュースを流し続けている。日本のテレビは北朝鮮か?と思うほど である。
これだけ同じニュースを流すのならば制作費がもったいないので、ニュースは1社だけが担当して後の局は別の有効な番組を作った方が視聴率も高くなってテレビ局各社の業績にも寄与するのではないだろうか?
どのチャンネルも打ち合わせたように同じ意見なのである。小沢氏が立候補すること自体に「小沢ショック」という主観的な価値の名前をつけてあたかもネガティブなことのように印象づけているところが筆者はおかしいと思う。
どこか一社くらい「小沢ドリーム」と言ってもいいのではないか?
なぜみんな「ショック」なのか?

前述の記事がおかしいと言っているのは、

1.「小沢ショック」という、ネガティブな言葉に主観が思いっきり入っている。
  一政治家の立候補をショックと呼ぶかドリームと呼ぶかは支持する側の
  主観である。なぜ、朝日新聞はドリームではなく、ショックとするのか?

2.アバウトなマニフェストの、しかも当選していない候補者の実行もしていな
  い政策の予測、あるいは勝手な思い込みで長期金利が上がるはずはない。
  これは株価のように個人の嗜好で乱高下するような数字ではない。これは
  日銀の政策の一環であって、小沢氏の立候補とは何の関係もない。

日銀のホームページを読むと、日本の長期金利は以下のような原則で決まると記載されている。(以下引用)


なお、新聞等で長期金利の動きが報じられる時は、債券、特に長期国債(満期までの期間が10年弱のもの)の値動きがしばしば取上げられます。これは、債券 を売る(供給する)ということは長期資金を調達(需要)する、債券を買う(需要する)ということは運用(供給)するということなので、債券「相場」の動き が、長期金利の動きをそのまま表すからです。債券「相場」が値上がりすれば長期金利は低下、値下がりすれば長期金利は上昇というように、長期金利も「相 場」として動くということです。

(中略)

つまり、物価安定予想が支配的な時の方が、債券がよく売れて高い値がつく、すなわち、長期金利は低いのです。逆に、インフレ昂進予想がある時は、債券が売れないから値が低い、すなわち長期金利は高いのです。

(中略)

長期金利 → 短期にはない、長期に特有の要因が金利決定に影響
       
         → 期待インフレ率
            将来の物価変動(インフレ、デフレ)はこの程度だろうと
            いう「予想」。例えば、高インフレになろうだろうとの「予想」
            が強まれば、長期金利は直ちに上昇する

         → 期待潜在成長率
            今後の経済が成長していく地力が強いと予想されれば、
            資金を投じて投資を行うことのメリットが高まるので、長期
            の資金需要も増え、長期金利は上昇する

         → リスクプレミアム
            将来について不確実性があることに対して投資家が要求
            する上乗せ金利。リスクプレミアムが拡大すれば、長期
            金利は上昇する         

(以上、2010年9月8日 日本銀行ホームページより引用)


では、日本の長期金利はなぜ上昇したのか?

期待インフレ率でいけば、日本は-1.5%のデフレなので長期金利の上昇はない。
期待潜在成長率でいけば、日銀が9日発表した7月の貸出・資金吸収動向(速報)によると、国内銀行の月中平均貸出残高は前年同月比1.9%減の394兆 9752億円と、8カ月連続のマイナスだった。企業の資金需要が低迷しているため期待潜在成長率は悪化しており長期金利の上昇要因はない。

では、なぜこの時期に長期金利が上がるのか?
それは、国債が売れなくなっているからである。リスクプレミアムである。
小沢氏の立候補とは何の関係もない。前述の日興コーディアル証券のストラテジストは、株と長期金利の決定メカニズムが同じであると混同しているのではない かというような発言をしているが、小沢氏が首相になったら国債の発行額が増えるという見解もずいぶんデタラメな発言で、日興コーディアル証券の見識が問わ れるのではないだろうか。

実は最近(2、3カ月前)、日本の赤字国債が“消化しきれず売れ残る”という恐怖の大参事が証券業界に巻き起こっていた。国の赤字がひどすぎて、金余り貸し出し先なしの銀行ですら国債を引き受けなくなったのである。
筆者は、長期金利の上昇の背景にはこのことがあるとにらんでいる。決して、これからインフレが始まるということではない。もともと、日本の赤字国債は日本の金融機関や郵貯が引き受け手となって買っていたのである。
もし、発行した国債が大量に未消化となれば、日本の国債は暴落する。
これは国家の財政破綻のシナリオそのものである。

IMF(国際通貨基金)が昨年11月にG20の中で、日本の債務残高は突出しており、2014年にはGDPの2.5倍に拡大すると警告しているように、日本の国家の財政破綻につながる問題となる。

日本の長期金利の上昇は、こうした国債の売れ行きの問題から来るものであって、決して「小沢ショック」から来るものではないのである。素人でも分かるような詭弁を使って長期金利の上昇までを“小沢のせいだ”と決めつける報道のやり方にはファシズムを感じざるを得ない。
報道のジャーナリズムとは、リベラルな立場に立って自由と人権を擁護する正義のペンではなかったのだろうか?
現在のマスコミが一体何を恐れて小沢バッシングに走っているのか?
記者クラブを廃止して、スクープを夜討ち朝駆けで追う事がそんなに嫌なのか?
なぜ民主主義の国で、民放のテレビ局も新聞も、金太郎飴のように同じ記事を、同じ視点で一斉に報道しているのか?特にテレビのニュースはなぜ政治に関しては同じ報道を流すのか?
本当にみんな民主党が嫌いなのか?

筆者は今のマスコミが特定の権力者の号令のもとに“体育会系盲従報道”をしているようにしか見えない。
この体育会系偏向ニュースに騙される方も騙される方だが、明らかに恣意的な内容の報道が多い。
中立性や客観性に問題のある報道ばかりである。いつから日本の報道機関は大政翼賛会になってしまったのか?
これでは戦前と何ら変わらないではないか。

独裁政治の基本は愚民のコントロールにある。
敵はそのことをよく知っているのである。
政権が民主党に移ったことによって、敵のシナリオが狂ったのである。

小沢バッシングの報道や政治資金問題の検察審はその反撃の一環である。
有罪も無罪も確定せず裁判もしていない状態で、あたかも有罪のように何百回も繰り返し報道されたら裁判所が判決を出す前に世の中で判決が形成されてしまうであろう。これは明らかに暴力である。
これを意図して指図している闇の勢力がいるのである。

さて、この日本国民の真の敵とはどういう勢力でしょう?
みなさん、よく考えましょう。