2022.02.08

生産管理の業務フローを5ステップで解説!実行する上での課題点とは?

製造業における生産管理は非常に重要な業務です。生産管理を最適化できれば、顧客満足度の向上や売上アップに期待が持てます。

しかし、生産管理の最適化は容易ではなく、各部門の業務フローを把握し、社内全体で連携する必要があります。そこで本記事では、生産管理の業務フロー、生産管理における課題点を解説します。

製造業における生産管理とは?

製造業における生産管理とは、製品の製造を計画通りに進めるための、製造工程を管理する業務全般のことです。

この生産管理は製造業の基幹にあたる業務であり、生産計画の立案や工程計画の作成、工程管理など、担当する業務は多岐にわたります。

また、「生産計画に基づいて決められた数量の製品を期限までに製造すること」、それこそが生産管理の目的です。その目的を実現するためには、社内のあらゆる部門で連携を図り、受注から納品まで効率的に進行させる必要があります。

生産管理を効率的に実行すれば、都合の良いタイミングで原価を抑えた良質な製品を出荷・納品できます。その結果、顧客満足度の向上へと繋がり、企業の売上アップにも期待が持てるでしょう。

生産管理の種類

生産管理には複数の種類が存在します。「オーダー形式による違い」と「生産形式による違い」に分けて見ていきましょう。

オーダー形式による違い

オーダー形式による違いとしては、以下の2つがあげられます。

受注生産

受注生産とは、顧客から受注するたびに生産する形式のことです。受注した分だけ在庫を用意すれば良いため、在庫のロスが起こりづらいという特徴があります。受注してからの進捗管理や部品手配などが重要となります。

見込み生産

見込み生産は、あらかじめ需要を予測して在庫を抱える生産形式です。自動車やプラスチック・合成ゴムなど、需要の高い製品は見込み生産で作られることが多いです。

また、先程の受注生産を活用している場合でも、見込み生産として事前に在庫を用意しておけば、受注から納品までをスピーディに進められます。

生産形式による違い

生産形式による違いとして、以下の4種類を解説します。

ライン生産

ライン生産は、製品をコンベアで移動させながら各パーツを取り付けていく生産形式です。子供用の玩具など、大量生産される製品の多くがこのライン生産を採用しています。

セル生産

セル生産は、1人もしくは少人数のチームで製品を完成させる生産方式です。ライン生産とは違い、1人が同じ作業を繰り返し行うのではなく、複数の作業に関わります。多品種少量生産に適した生産方式だと言えます。

ロット生産

ロット生産は、製品ごとにある数量でグルーピングし、数量単位で同じ流れの生産・保管を行う生産方式です。あらかじめ生産期間を定めることで、少数のチームでも高い生産性を確保できます。

個別生産

個別生産は、受注するたびに生産計画を立てて製造する生産方式です。オーダーメイド製品によく使われる方式で、顧客の要望に応じた生産を行えます。

生産管理の業務フロー:5ステップ

生産管理の過程にはさまざまな業務が存在します。良質な製品をスピーディに供給するためには、各部門が手掛ける業務を把握しておく必要があります。

そのため、本項では生産管理の業務フローを5つのステップに分けて解説します。業務フローを理解すれば、無駄な工程を削減して供給までを効率化できるはずです。

業務フロー内容
ステップ1.受注管理顧客からの注文内容を管理する
ステップ2.生産計画生産管理におけるすべての流れを計画する
ステップ3.生産指示計画を実行できるよう現場に指示を出す
ステップ4.出庫指示完成した商品を出荷するための指示を出す
ステップ5.出荷管理完成した商品をスムーズに供給する

ステップ1.受注管理

はじめのステップは受注管理です。受注管理とは、顧客からの注文内容を管理することを意味します。

この受注管理は「見積もり」「契約」「情報管理」という3種類の業務が主となりますが、製造業の生産管理では「情報管理」のみを実施します。

具体的には、顧客からの問い合わせを介して受注を行い、納期や数量、顧客からの要望を反映させた受注オーダーを作成するなどです。顧客と最初に接触するステップであるため、慎重に対応する必要があります。

ステップ2.生産計画

受注管理の情報を引き継ぎ、生産計画を作成します。生産計画とは、生産管理におけるすべての計画のことです。

生産計画を作成する上では数量や時期を重視するだけでなく、生産を行う環境の変化も考慮する必要があります。

例えば、年末年始や夏の盆は休日を取る人が多いため、社内の生産者が少なくなり、生産性が大幅に低下します。このような状況をあらかじめ想定し、状況に合わせてスケジュールを組まなければなりません。

また、生産計画はすべての業務に関わることから、生産計画を作る段階で各部門と連携して進める必要があります。生産計画が適切でないと各部門の業務もうまくいかないため、常に見直しや改善を意識し、慎重に進めなければなりません。

ステップ3.生産指示

生産計画が完成したら、生産指示に移ります。生産指示とは、計画を実行できるよう現場に指示を出すことです。

「生産指示は生産計画通りに実行すれば良い」と思われがちですが、実はそうではありません。生産現場は常に状況が変化しているため、指示を送るタイミングをその都度見極める必要があります。

また、生産指示は製造に関わるすべての工程で必要であることから、在庫状況や生産結果の進捗など、各部門のあらゆる状況を把握していなければなりません。

ステップ4.出庫指示

生産指示を出して製品が完成したら、出庫指示を出していきます。出庫指示とは、完成した商品を出荷するための指示出しのことです。

具体的な業務内容としては、出庫指示書の作成や出庫を行う部門への引き継ぎ業務などがあげられます。シンプルで簡単な作業のように思えますが、前後の業務が重要であるため、スピーディかつ正確な出庫指示が求められます。

業務をスムーズに完了させるためにも、製造が完了してから出庫指示を考えるのではなく、完成予定時刻を逆算して準備することが大切です。

ステップ5.出荷管理

出庫指示を終わらせたあとは、出荷管理に移ります。出荷管理は、完成した商品をスムーズに供給するための業務です。

製造した商品は品質も大切ですが、出荷管理による顧客対応や配送ルートの確認なども重要となります。出荷管理は顧客満足度に直結するため、慎重に取り組む必要があります。

また、出荷のタイミングで問題が発生した場合、いかにスムーズに対応できるかがポイントなので、事前に準備してトラブルに備えておきましょう。

生産管理における3つの課題点

生産管理を実施する上では、いくつかの課題点が考えられます。以下3つの課題点を理解し、安全かつスムーズな生産管理を実施しましょう。

課題点1.需要予測が困難

1つ目の課題点は、需要予測が困難であることです。顧客が求める需要を正確に予測することが難しいため、在庫不足や在庫過多による機会損失が起こるケースがあります。

また、市場の変化による影響も受けることから、専門的な人材であっても精度の高い予測は困難を強いられます。

特に新製品を供給する場合は需要予測がさらに難しく、分析に使用するデータが揃わないことも少なくありません。

課題点2.進捗管理が困難

進捗管理が困難であることも課題点に含まれます。生産管理は複数の部門を経由して進行するため、部門間の引き継ぎや共有をスムーズに行えない場合があります。

また、営業部門から納期の短縮を求められることや、部門間で伝達ミスが起こってしまうなど、進捗がズレる原因はいくつも考えられます。

各部門の状況を把握しながら、受注から納品までを進める必要があるため、進捗管理を正確に実施するのは容易ではありません。

課題点3.予期せぬトラブルの発生

3つ目の課題点として、予期せぬトラブルの発生があげられます。設備不調のトラブルや人為的なトラブルにより、当初予定していた期限よりも遅れてしまうことが多々あります。

また、急な受注量の変更や飛び込み注文などが入ることで、さらに現場は混乱に巻き込まれ、生産管理がスムーズに進みません。

このような予期せぬトラブルにより、生産管理が困難な状況に陥る可能性は十分あります。しかし、そんな状況でも納期や品質をしっかり守れるよう、臨機応変に動かなければなりません。

生産管理を効率化する上で欠かせないBOMシステム

生産管理には複数の課題点があることを理解できたでしょうか。これらの課題を改善するためには、BOMシステムの導入が効果的です。

BOMシステムとは、部品表を効率的に管理するための仕組みのことです。製品に必要な部品情報を統合的に管理できるだけでなく、各部門への情報提供をスムーズに行えます。

BOMシステムを導入すれば、部門間における進捗管理が容易になり、人為的なトラブルが減少します。また、過去の製造データを素早く検索できることから、顧客の需要を予測しやすくなるでしょう。

BOMシステムの機能

BOMシステムにはさまざまな機能が備わっています。代表的な機能としては、以下の4つがあげられます。

BOMシステムの機能内容
BOM(部品表)管理機能・部品表や設計、生産などを属性ごとに管理できる
・どこに何のBOMがあるのかが明確になるため、部品表の間で矛盾が生じづらくなる
BOM(部品表)更新機能・自動的に部品表の変更履歴を管理してくれる
・設計部門で情報共有が容易になるため、伝達漏れや設計ミスを防止できる
在庫管理機能・部品表以外にも製品の製造工程に沿って管理できる
・製品が完成するまでにかかる時間が明確になる
製品管理機能・製品を属性ごとにわかりやすく管理できる
・製品情報を紐付けて登録できるため、製品の図面を探す手間が省ける

なお、BOMシステムについて詳しく知りたい方は「いま話題のBOMシステムとは?活用するメリットや機能性を解説」をご参考ください。

まとめ

本記事では、生産管理の業務フロー、生産管理における課題点を解説しました。

製造業の生産管理は、製造工程を管理する業務全般を指します。各部門の業務フローを把握することで、生産管理の最適化に繋げられます。

生産管理を効率的に進めたいという方は、ぜひ本記事で解説した業務フローを参考にしてみてください。また、生産管理に課題を抱えている場合は、BOMシステムの導入をおすすめします。

なお、本サイトを運営する株式会社クラステクノロジーも、「Celb」というBOMシステムを提供しています。本サービスでは、情報の分散化・俗人化・不整合の根本的な改善と、情報管理の手間やコストの大幅な軽減を実現します。

また、BOMシステムに関する質問や相談も承っておりますので、「生産管理の課題をBOMシステムで解決したい」「BOMシステムのメリットを知りたい」という方は、ぜひお気軽にご相談くださいませ。

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