【第163回】LCCの歩き方

LCCとは(Low Cost Carrier)の略で、格安航空会社のことである。
元々は米国の航空規制緩和の中で誕生したものである。
代表的なLCCは、米国のサウスウェスト航空や、英国のイージージェット、マレーシアのエアアジアなどがある。
このLCCには、通常の航空会社と違って特別な乗り方がある。今回はそのコツを紹介したい。

ちなみに、筆者は出張やプライベートで様々な航空会社を利用したが(もちろんビジネスクラスもたくさんあります)、LCCが登場するまで世界で一番不愉快な航空会社はノースワースト(North Worst)航空であった。
ノースワーストというのは通称で、本当の名前はノースウェスト(North West)航空というのだが、恐ろしく乗り心地が悪く不愉快なので、乗った人は必ずノースワーストだけには乗りたくないと思ったものだ。
この航空会社はデトロイトが本拠地で、デトロイトに行くためには必ず乗らなければならない。従って、デトロイト出張はいつも苦痛であった。
ビジネスクラスは最新のフルフラットシートで、軍隊育ちのパイロットは腕がいいのだが、ノースワーストの何がダメかというと、サービスがとにかくひどかった。
ビジネスクラスの食事でも、JALやANAやシンガポール航空のエコノミーの方がずっと美味しい。

最も腹が立つのがフライトアテンダント(要するにスッチー)の態度である。
通常スッチーにデブはいない。シンガポール航空などは入社時の民族衣装のような制服のサイズが着れなくなったら即退社の誓約書を書かされるくらいなので、通常スッチーにデブはいないし、また、老婆もいない。
ところが、ノースワーストは小錦みたいなデブとお婆ちゃんのオンパレードで、しかもサービスは最悪であった。
客を客と思っていない最低の航空会社で、機内食は下手な給食よりまずい。
いつかビジネスクラスで寝ていたら、後方でおばちゃんスッチーが一晩中大声で恋話を咲かせて、何度注意してもやめなかったり、ビジネスクラスの手荷物が いっぱいだった時に勝手に階下のエコノミーに筆者の荷物を移しておいて、しかも出る時には自分でエコノミーに取りに行けと命令されたり、 不愉快な思い出は数限りなくあった。
客のリクエストに舌打ちしながら応える、とにかく世界で一番サービスの悪い航空会社はノースワーストであった。
そのノースワーストもあまりにもサービスが悪いせいか、いつの間にか、chapter11(一種の破産倒産ですな)を出して、デルタ航空に吸収され、今はない。
去年、米国に行く際に止む無くデルタ航空に乗ったが、機内食は相不変まずかったが、サービスは最悪ということはなかった。

そのノースワーストよりひどいのが出現したのである。LCCである。
これはもう、安かろう悪かろう、そのものであるが、そのLCCを利用せざるを得ない方々のために、LCCの歩き方を伝授したい。
前置きが長くなったが、LCCで耐え忍ぶためには予約段階からの武装が重要である。

Step1:予約
LCCはインターネットから直接航空会社のサイトに予約を入れるようになっている。
その際に重要なことは、一度クレジットカードで決済したらどんな理由があろうとも“返金(refund)には絶対に応じない”ということを肝に銘じなくてはならない。
後からの追加は自由に出来るので、LCCでブッキングする際には、“最低の料金の最低のオプションで予約する”というのが原則である。
一度決済してしまったら、まずキャンセルはできないし、何よりも航空会社に電話も通じず、e-mailを送っても応答がなく、“連絡を取る手段が一切ない”のである。
これは、ジェットスターや、特に、エアアジアでは徹底されている(2013年7月現在)。
エアアジアなどは、ぼーっとして英語の画面を叩いていると、いつの間にか保険に加入させらていたりするので注意しなければならない。
筆者はジェットスターでオーストラリアをエコノミーで予約した際に、航空会社からの直接の勧誘電話でビジネスクラスに15,000円位でアップグレードで きるからやらないかと勧誘されてOKしたら、その場でクレジットカードから決済され、その後ネット上ではエコノミーのままだし(アップグレードが確認でき ない)、電話は通じないし、メールも通じないまま、当日成田空港に行って担当者に事情を話したら、担当者も本社に電話が通じなくて困り、ついにあきらめて チェックインしてみたら、アップグレードされていることが判明したという有様だった。
LCCはそのくらい客の声を全く聞かない。連絡もできないし、メールも通じないし、一旦お金を払ったら絶対戻らないと思ったほうが良い。
ただし、安い。

Step2:手荷物
エアアジアあたりで特に顕著であるが、機内に持ち込める手荷物の重量が厳しく決まっている。これを甘くみると大変な出費になるので注意しなければならない。
例えば、機内持込手荷物が一個20Kgまでなら追加料金がかからないのだが、その20Kgは航空会社の秤で20Kg以内である。家の体重計で19Kgでも 航空会社の秤で20.01Kgであれば荷物1つにつき25,000円の追加料金がかかる。これは航空運賃より高い(ということはLCCは航空運賃がそれだ け安いのですが)。
手荷物の重量は本当に注意しなくてはせっかくの安い航空券も意味がなくなるのである。
これがジェットスターになると機内持込手荷物1個と小型品目1個の合計で10Kgなので家で相当厳密に重さを量らないととんでもない追加料金が発生する。かなり厳しい数字である。

Step3:フライト
LCCのフライトに付き合うには特有の心構えが必要である。それは、席に座ったときに以下のような呪文を唱えなければならない。

“俺は客ではない、荷物だ。”
“俺は荷物だから文句も言わないし、人間扱いされなくても不満もない。サービスも要求しない、食事もしない”(エアアジアでは食事は本当に出ません)。

そうなのだ。“荷物になりきる”、これがLCCを乗りこなすための重要な哲学なのである。
したがって、LCCにはわがままな人は乗れない。人権だのサービスだのカネを払っただの文句を言っても始まらない。大体、荷物は文句を言わないものなのだ。
LCCに乗るためには、ひたすらお地蔵さんのように荷物になりきることが重要なのである。

これさえ出来れば、あなたは5,000円で海外に旅行することができます。

ボンボヤージュ!