【第145回】シンガポール・カジノ旅行記 -世界一マナーの悪いカジノ、セントーサ

13年ぶりにシンガポールに行った。筆者が最初にシンガポールに行ったのは確か1993年のことである。
その頃は名物のマーライオンから向こうは現在マリーナベイと呼ばれる海が見渡せ、マーライオンが海を睥睨している風景があった。その後、マーライオンの先 に道路が建設されて借景を失ってからはセントーサ島に巨大なマーライオン2世ができて、現在ではこちらがシンガポールのシンボルとなっている。

今回、そのマリーナベイの周囲が全く違う都市に変貌していて驚いた。金融街には現在でも高層ビルが建設中で香港のように高層ビルが林立しているし、何もなかったマーライオンの向こう側にはマリーナベイサンズという、カジノリゾートの強大な建築群がそびえ立っている。

2010/11/04 18:05

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■博打場の上のホテルの部屋から写したセントーサ。真ん中にマーライオン2世が見える

2010/11/04 18:05

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■同じ部屋からの眺め。写真には写っていないが、下には巨大なプール群が広がっている

シンガポールの建国の父は、リークァンユー(李光耀)である。リークァンユーの李は李一族の「李」である。長江実業グループの統帥で、香港の不動産王で現在の北京の王府井を再開発した李嘉誠(リーカシン)や中国前首相の李鵬は皆同族である。
オバマ政権が発足して、2009年2月にヒラリークリントン国務長官が来日した際も彼女は日本に数時間しか滞在せず、すぐに中国に行ってしまったが、彼女 の真の目的は李嘉誠との密談であったと言われている(ロックフェラーの密名を帯びていたのかはわかりませんが)。彼等はダンブラウンのベストセラー「天使 と悪魔」に登場する、イルミナティという秘密結社の一員と言われ、フリッツ・スプリングマイヤの「イルミナティ悪魔の13血流-世界を収奪支配する巨大名 家の素顔」によれば、李一族は、ロックフェラー、ロスチャイルド、デュポン、オナシス、ケネディ、ラッセル、ファン・ダイン、フリーマン、アルター、バン ディ、コリンズ家同様にイルミナティ13家のうちの一つと言われている(実は、フリーメイソンやイルミナティは実際のサイズ以上に自分達を大きく見せて世 界中のあらゆる局面で政治や社会をコントロールしようとしていると筆者は睨んでいます。ですから、筆者は必要以上のフリーメイソンやイルミナティの脅威論 には組みしないことにしています)。もしそれが事実ならば、シンガポールはイルミナティの植民地ということになる。そうでなくとも、李一族の植民地には違 いない。
リークァンユーは、中国人で客家(はっか)系中国人の4世にあたる。英語を話す家系に育ち、英国のケンブリッジ大学で法律学を専攻し弁護士となった、植民地生まれの英国人である。この辺はインドの建国者マハトマ・ガンジーのバックグラウンドと酷似している。

彼はシンガポールを統治するにあたって、中国人の特質を知り抜いて、数々の画期的政策を行った。これによって制御不能の民族である中国人を改造したのである。

シンガポールは多民族国家であり、マレー人14%、中国人76.7%、インド人7.9%が共存している。
リークァンユーは中国人をいかに改造するかということに腐心し、他国から見れば珍妙な独裁政治のように見える政策を次々と実行した。
その最たるものがシンガポール独自の罰金制度である。一昔前に、チューインガムを国民に食べさせないという法律があって、何という珍妙な国だと筆者は思っ ていたが、度し難い中国人のマナーを見るにつけて、リークァンユーは中国人をよく知っていて彼等の操縦法を心得ているということが現在の段階になって判っ た。彼は中国人にマナーを仕込むのに50年も独自の罰金制度を設けて実行している。実はそれくらい難しいことなのだ。

現在のシンガポールの罰金の種類の一例をあげてみよう。

・エレベータ内で立小便(放尿)したら・・・1000ドル
・使用後にトイレの水を流さないと・・・1000ドル
・禁煙エリアでの喫煙・・・1000ドル
・ゴミのポイ捨て・・・1000ドル
・チューインガムの禁止
・非常ベルを誤って押したら・・・5000ドル

どうしてこんなにも執拗に罰金刑を量産するのだろうか?そこに中国人の社会ルールに対する特殊性がある。
例えば、「芝生に入ったら罰金10ドル」という看板が立ててあったとする。日本人や欧米人は「あぁ、この芝生に入ってはいけないんだな」と考えるが、一部 の中国人は「10ドル支払えば芝生に入っていいんだな」と考えるし、またその論理で行動する。自分が汚いトイレを使うのは嫌だが、自分が使った後に汚く なっても、それは一向に構わないのである。そういう論理の人がたくさんいるので国を運営するためにマナーやルールの細部まで指示し、規定して罰金を課した のである。
ちなみに、現在、シンガポールのテレビでいつも流れているコマーシャルの1つにこのようなものがある。

地下鉄(MRTといいます)が駅に到着してドアが開くと、降りる人々が顔の絵のカードをそれぞれ持っていて、乗る人々がドアの両側によけて降りる 人々を優先したら、ニコニコ顔になり、逆に、乗る人々が降りる人々を無視して乗り込もうとしたら困った顔になる、というキャンペーンである。
要するに、地下鉄のドアの前に立たないで降りる人々に先に道をあけて、降りてから両側で待っていた乗る人々が乗りなさい、という指導である。日本なら小学 生でもできるような、このくだらないことがシンガポールではテレビでコマーシャルを流さないと実行できないのである。それほど中国人はルールなき民なので ある。
では、このルールなき中国人がカジノに入るとどういうことになるか?
それが世界一マナーの悪いカジノ・セントーサである。

2010年、シンガポール政府は観光産業の振興を目指してマカオのようなカジノリゾートの建設にゴーサインを出した。最初のプロジェクトが「リゾート・ワールド・セントーサ」である。
これはマレーシアの複合企業ゲンティン(Genting)が経営している複合リゾートで、華僑資本である。域内に、ユニバーサルスタジオ、水族館、ホテル(4棟)、カジノ、ショッピングモール、免税店を包含した大型リゾート施設である。

セントーサのカジノの客のおそらく90%近くは中国人である。台湾、香港、マレーシア、シンガポール、中国、と系統は様々であるが、とにかく客の大半は中国人である。従ってカジノのテーブルの上での公用語はマンダリンである。
これによって、カジノセントーサには、ラスベガスのヴェネチアンやベラッジオのような超豪華な施設の上に世界一マナーの悪いアジアの大鉄火場が出現するこ とになったのである。筆者が鉄火場で思い出すのは、マカオが現在のように再開発される前の1999年頃はたった1軒あったカジノのホテルリスボアの場末の 鉄火場のような雰囲気があった。そのかつてのリスボアの鉄火場でさえなかったようなことがセントーサでは起きている。

バカラ、ブラックジャック、ポーカーなどをカジノではテーブルゲームと呼ぶ。ディーラーと対面したテーブルに5~6人のプレーヤー席があり、各自自分のポ ジションにチップを張るスタイルでゲームをするのである。ゲームに参加できるプレーヤーは席に着いた6人のみである。他から賭けることはできない。従っ て、周囲で見ているやじうまが勝手に自分のポジションにチップを張るなどということは有り得ない。驚くべきことに、これがセントーサでは当たり前なのだ。 例えば、バカラは自分のチップをバンカー側かプレーヤー側のどちらかに張る(ベットする)ゲームなので、1人でしか出来ないはずなのに、勝手に後ろから人 のエリアにチップを張って勝手に取って行くのがセントーサ流である。この過程で誰が勝って誰がチップを受け取ったかが分からなくなる。当然トラブルも発生 する。それでもディーラーは平気である。なぜなら、1勝負のバカラでミニマムベット(最低賭金)が50ドルのテーブルに6人が満席で座ってゲームをしても 50×6=300ドルのテラ銭にしかならないが、周りの人間の賭金をどんどん受け入れると3000~5000ドルの鉄火場が出現するからである。要するに カジノは大鉄火場を出現させることによって大儲けしているわけである。当然、007の行うような品位はなく、がさつでうるさく品もなく、ゆっくりとゲーム を楽しめないカジノとなるのである。

そういう鉄火場なのでセントーサには、ソウルやラスベガスのカジノのようにワインを運んだり、カクテルを運んだりする美女のサービスもない。雰囲気も埼玉のボートレース場のようである。
筆者が一番驚いたのは、ブラックジャックのテーブルに座っていたときに、筆者の隣にいた中国人(ということは自分のエリアを持っている同じプレーヤーです が)が何を考えたのか筆者のところにチップを張ってきたのである。これはどういうことを意味するかと言うと、筆者がその隣の男の分まで勝つようにカードの 是非を判断しなくてはならなくなるということだ(ヒットとかステイとかです)。自分のところに張るように指示しても、そういうことをやる。通常のカジノで は有り得ないような現象がカジノ中で巻き起こっているのである。
マナーの悪さを言い始めたらキリがないが、このセントーサのカジノは禁煙カジノと喫煙カジノにエリアが分かれているが、その喫煙エリアに行くと、皆、灰皿の上でタバコを吸うのではなく、歩きタバコをしているのである。1人、2人ではない。筆者以外全員である。
安かろう、悪かろうか?

セントーサのカジノは全体的にミニマムベットの額が高く(バカラ50ドル、ブラックジャック25ドル)、決して庶民的な値段ではないのだが、ソウル のようなカジノらしさは全くなく内装だけは豪華であるが、男くさい雑多なアジアの陋巷である。セントーサに比べると同じシンガポールのカジノでもラスベガ ス系列経営のマリーナ・ベイ・サンズの方が雰囲気もマナーもいいようだ(1勝負しかやっていないのであまり評価は出来ませんが)。

中国および中国人を見ていると、数が力であるという巨大な脅迫を感じる。少数意見の正義など間違いでしかない。多数決の暴力という民主主義の腐敗にもつきものの数の力を常に駆使して物事が決まる。
シンガポールのテレビでも海上保安庁から流出した尖閣問題のビデオを流していたが、何が正しいかは中国人にとっては関係ない。中国人が正しいのである。常に中国人が正しいのである。

日本の隣人の姿はかく語りきである。

付記
今回はタイサイという中国サイコロゲームをやりに行ったのだが、通常、世界中のタイサイは透明なガラスの容器の中に3つのサイコロが入っていて、それが電 動で攪拌されて目が決まる。セントーサのカジノはなぜかそのガラス容器に見えないような蓋をかぶせ、サイコロの動きをディーラーが止めてからおもむろに蓋 を開けてサイコロの目を開示する。筆者はタイサイをやってサイコロが一度も動いた場面をみないカジノを初めてみた。サイコロはいつも静止しているのであ る。誰もこのことに疑問を抱かないのが疑問であった。どうしてわざわざ蓋をする必要があるのか?