【第77回】ワイン談義その2 -もう1つのサイドウェイ(後編)

少し酔っ払ったところで、河岸を変えてオーパスワンと道1つ隣のワイナリ(ということはテロワール(土壌)が同じということです。レオビル・ラスカースと レオビル・バルトンのようなものです)のシルバーオークを訪れる。こちらはアメリカの古い農家のようなシャトーである。シルバーオーク自体は、米国大統領 の公式晩餐会で振舞われるような正統派ボルドーグランバン風カリフォルニアワインである。値段もかなりよく、ワイナリで購入してもオーパスワンと値段はそんなに変わらない(要するに高級ということです)。
このワインのテーゼは“Life is a Cabernet”である。この硬派なこだわりがタンニンの強い重厚なワインとなるのである。カリフォルニアワインの右翼と呼んでいいだろう。

映画サイドウエイの舞台となったサンタバーバラあたりはブルゴーニュのようなピノノワール主体のワインが産出されるが、このあたりはボルドータイプのカベルネソービニオンの傑作が多い。

最近は世界中から評価されてきて値段も高くなっているので、2,30年前のようなお得感はなくなりつつあるが、それでも重厚でタンニンの利いた傑出したワインが多い。一例を挙げるのでもし購入する機会があったら一本お土産に持ち帰って誕生日のような記念日に開けるといいかもしれない(スタッグスリープ、シ ルバーオーク、オーパスワン、ケイマス、ダンビンヤード、ニーバムコッポラ、ダラヴァレ、シェーファー等々)。

それから、カリフォルニアワインの土着品種はジンファンデルである。世界でもっとも多くのジンファンデルが栽培され、しかも傑作が多い。筆者はスパイシー な土着品種(ということは非フランス系ということですが)が好きなので、このカリフォルニア産ジンファンデルは大好物といえる。
代表的なものにRIDGE (リッジ)、Frogs Leap Zinfandel (フログ・リープ)、RAVENSWOOD Zinfandel(レベンウッド) などがある。ぜひお奨めしたいワインである。

・QUINTESSA
皆さんはカリフォルニアにオーパスワンをはるかに凌ぐ出来の、余韻の長いふくよかなワインが出現したことをご存知だろうか?
その名を「QUINTESSA」といって、チリのワイン王 Agustin Huneeus (彼は日本でもおなじみのConcha y Toroのオーナーです)が近代醸造技術の粋を尽くして1990年からはじめたワイナリである。
最初のビンテ-ジが1995年。品種はカベルネソービ二オンとメルローとカベルネフランから成る典型的なボルドーのグランヴァンと同じブレンドのワインである。4つのテロワールから出来るものをブレンドしているので、QUINTESSA と命名された。これは現在間違いなくカリフォルニアワインの最高峰と呼べるワインで、並み居るボルドーグランヴァンをはるかに凌駕する偉大なワインに成長している。恐るべき作り手である。ぶどうは全て手摘みで、ゆっくり搾取した果汁をフレンチオークで2年寝かせ、生産量はわずかに10,000本。すでにナパのレストランのワインリストではオーパスワンより高価である。

筆者はオーパスワンで2003年を試飲してから2時間後にこの QUINTESSA で2003年と2002年を試飲する機会にめぐまれたので、この類稀なカ リフォルニアワインを比較する絶好の機会にめぐまれたのである(ついでにシルバーオークもスタッグリーブも同じ日に飲みました)。とにかく余韻の長いふくよかな素晴らしいワインであった。ロバートパーカーは何と言うのか調べていないが(知っている人がいたら教えてください)、間違いなく人類がいままで作っ たワインのなかで歴史に残る素晴らしい出来栄えになっている。それがほんの10年前までこの世に存在しなかったのだ。カリフォルニアワイン恐るべしであ る。

ロバートモンダビ、ニーバムコッポラ、オーパスワン、シルバーオーク、ベリンジャー等々有名なワイナリを訪問しているうちに夕方になってしまう。

ディナーは、Napa Valley Wine Trainをお奨めしたい。これはナパとセントヘレナ間を往復する食堂車である。この列車はマリーナから出航するヨットと同じで、ナパから出発してナパに 戻る列車で、途中の車窓からはナパバレーの景色やワイナリの景色を楽しむことができる。
列車には3つのコースがあって、松(Vista Dome)、竹(Gourmet Express)、梅(Silverado Car)と車両別に値段が違う。どうせ行くなら、松コース(Champagne Vista Dome Car)に行くべきである。ディナーでもひとり100ドルくらいである。
米国人はこの車両を何かの記念日に利用するらしく、なんの記念もしないオジサンが2人で混じっているのは違和感のある光景だが、シャンパン、ワイン、食事どれも申し分ない内容なので、走る飲み屋と思えばなかなか乙なものである。
このワイントレインもナパソノマの有名なワインを数多く揃えているが、意外だったのはワイントレインという名のハウスワイン(確か30ドルくらいだったと思うが)がかなりイケる代物であった。ちなみにコースは以下のような内容である。


Vista Dome Appellation Dinner
In Pappardelle with Stewed Garlic & Baby Vegetables in Herbed Jus
Vanilla Tartlet of Goat Cheese
With a Salad of Young Greens & Honeycomb
Tarragon Duck Tamale
In Delicate Mole
Grilled Halibut
With Lavender Potato Pancake & Braised Greens
In Pinot Beurre Blanc
Freshly Prepared Dessert….
Cognac Pear & Grand Marnier Ice Cream


一泊くらい逗留できるのなら北のカリーストーガに行って、Mud Bathという泥風呂を体験するとよい。
これは火山灰を暖めた真っ黒な泥の風呂で、中に入ると体が泥の中で固定される。これは不思議な気持ちよさである。多分血行がよくなってミネラルを補給できるのかもしれない。身動きが取れなくて汗をかいている間に、顔にライムやキュウリを貼り付けられるのが難点であるが。
Mud Bathを上がると消防ホースのようなもので里芋を洗うように盛大に泥を落とされて、ハーブ湯につかり、メキシコから来た屈強なおっさんの力まかせのマッサージというのが標準的コースになっている。
カリストーガは昔から湯治場のようなところで(雰囲気は西部劇のようですが)、サンフランシスコの住民が体を癒しに行くようである。
ちなみに、何気なく入ったCafeのパンケーキとベーコン目玉焼き(Sunny side up といいます)が死ぬほどうまかったので、素材がいいと単純なものがこんなに美味しくなるのかと感動した覚えがある。

もし時間に余裕があるなら、シリコンバレーに出張したついでにナパバレーやソノマに足を伸ばすことをおすすめしたい。
ナパ、ソノマは高原のような冷涼な気候とレベルの高いレストラン群で、全米のなかでもハイソ中のハイソである別荘地、美しいワイナリ、美味しいオーガニック食材等々が集まって、さながら米国の軽井沢のような場所である。
もちろん高級アウトレットもあるので、買い物もgoodである。
ちなみにおすすめのレストランを紹介しておく。


* Angele Restaurant and Bar
  540 Main Street
  TEL: 252-8115
  ☆ナパ川沿いの美しいロケーションにある。美味。何もかもよい。

* Bouchon
  6534 Washington Street, Yountville, CA 94559
  TEL: 944-8037
  ☆地元の人々の評価高し。高級フレンチ

* Celadon
  500 Main Street, Ste. G, Napa, CA 94559
  TEL: 254-9690
  ☆ナパ川沿いのレストラン。ナイスなロケーションである。

* Napa Valley Grille
  6795 Washington Street, Yountville, CA 94559
  TEL: 944-8686
  ☆一度は訪れたい有名店

* Napa Valley Wine Train
  1275 McKinstry Street, Napa, CA
  TEL: 253-2111

* Ristorante Alegria
  1026 First Street, Napa, CA 94558
  TEL: 254-8006
  ☆イタリアンならココ

* Terra
  1026 First Street, St. Helena, CA 94574
  TEL: 963-8931
  ☆唯一日本人シェフが経営するレストラン。予約はかなり困難。