【第57回】ヤクザと米 -小泉改革の宿題

以下は2050年(未来記事ですな)の週刊東洋エコノミスト誌に載っていた記事の一部である。


非合法“米”抗争 -仁義なき戦い再び

日本の米(特にコシヒカリ)の世界的なブランド化による価格高騰は暴力団の新たな資金源としてここ数年急浮上してきている。
Y口組を頂点とする広域指定暴力団は、中国マフィア、米国マフィア、コロンビアカルテル等の国際的コカインルートを通じて、これら非合法米を世界の富裕層に密輸して巨額の収益を上げている。
1%の富裕層が世界の99%の富を独占することになった現在の世界情勢では、高級食材の争奪戦が世界のブラックマーケットで展開されており、日本のコシヒカリはその中でも特に希少価値の高い商品として取引されて、暴力団の新たな資金源になっている。
そもそも現在の日本で公式に米は生産されていない。

21世紀初頭までは日本にも米生産農家が存在したが、農協、農水省の手厚い保護政策のために衰退して、約40年前には完全に産業として消滅した。
現在日本の食料自給率はほぼ0%であり、そのほとんどを発展途上国からの輸入に依存している。
米をはじめとする全ての農産物は東南アジア、中央アフリカにODAによるプランテーションを展開して日本向けの米を生産しているのが実情である。
また、農業保護、農家の育成といった観点から、日本から海外に農産物を輸出することは固く禁止されており、万が一輸出する場合には農水省が農協を通じて1000%の関税を課しているのが実情である。
現在、日本産(特に新潟魚沼産コシヒカリ)の米は、中国、米国、アラブ、タイ等の先進工業国や産油国の富裕層の間で人気が高く、各国のマフィアを通じたブラックマーケットで高値で取引されている。
そこに目をつけたのが広域暴力団Y口組で、密かに政府(農水省)の減反助成金で休耕地になっている古い水田を違法ビザで密入国させたアフリカ人を使って復活させ、農協が管理していない非合法のコシヒカリを全国3,000ヘクタールの水田で生産している。その米は、肥料用の雑穀、もしくは園芸用の肥料として各 国に船積みされて輸出され、現地で精米されて日本産コシヒカリとして高値で取引されている。
産地を特定するDNAチップによる厳しいチェックも本物の産地で栽培された自然米なので問題ない。
その収益はかつてのコカインやヘロインのようなタックスヘブンを通じたマネーロンダリングによって洗浄され、暴力団の新たな資金源としてクローズアップされている。

2000年初頭の麻薬ビジネスと比べて、現在のコシヒカリビジネスがいかに利益の大きいビジネスかを解説してみよう。

2000年初め、パキスタンやアフガニスタンの農民がアヘン1Kgで稼ぐのは90ドル、ヘロイン1Kg(アヘン10Kgが原料)の現地調達価格は3,000ドル、それが米国では80,000ドルで売られ、ダウンタウンにおける末端価格は1Kgが290,000ドルになっていた。
実に、320倍もの価格差を形成するビジネスであった。
現在(2050年)非合法コシヒカリは、現地生産卸価格で1Kg10ドルであるが、それが中国では5,000ドルで取引されており、富裕層における末端価格は1Kgが7,000ドルにも高騰していて700倍もの利益差を形成している。
現在、日本で廃村になった数千もの地区に正体不明のアフリカ人やアジア人が数万人規模で居住していると言われている。これらは全て蛇頭が送り込んだ不法在留農民である。彼らはY口組の指導で世界一美味しいと言われる高級コシヒカリを不法に栽培している。
(以上、2050年2月6日号 週間東洋エコノミスト誌より引用)



もしコシヒカリが1Kg7,000ドルで取引されたら、ヤクザはヘロインやコカインでしのぎを削ることをやめて非合法コシヒカリを生産して密輸出するはずである。なぜなら、その方が圧倒的に儲かるからだ。

先日、珍妙な米国のテレビ番組を見た。
日本の「料理の鉄人」をパロッたもので、素人(プロはだしでしたが)が3人で同じ素材で同じ時間内で料理を作り、その料理を3人のシェフが判定するという料理番組である。
その時のテーマは、ズバリ、“コシヒカリ”であった。
コシヒカリというマニアックな米が米国人の間で非常に高く評価されているのを見て、大変驚いたのである。考えてみれば、米国はSUSHIブームでクオリ ティの高い日本の米に注目が集まるのは必然と言える。それにしても米国人がコシヒカリをバイネームで評価しているのには驚きを禁じえなかった。

今現在、日本人は誰も日本の“米”が高価な輸出品になるとは考えていない。
日本の農産物の価値を最も理解していないのは、農水省と農協かもしれないのである。
なぜなら、わざわざ補助金を出して米を作らないように奨励してきたからである。
また、要りもしない過剰な農薬を農家に売りつけて、せっかくの高級農産物を汚染してきたからである。
もしかしたら、最先端のTFTや携帯電話や半導体を生産するより少ない投資で大きな利益が得られるかもしれないのである。
現在、中国などでは急激な工業化に伴う汚染と農業の衰退という危機に見舞われている。
これが歯止めなく進むと、中国産の農作物はカドミウムや重クロムを含んだ汚染食品となり、これらは一般庶民向けのB級食材として流通するようになるかもしれない。
反対に富裕層はますますその富を増大し、その購買力は一般庶民の一千万倍に成長するという説がある。そうなると安全で美味しい新潟魚沼産のコシヒカリが キャビアや白トリュフのような高級食材として北京の有名レストランの炒飯に使用されるのは時間の問題なのである(釣魚台あたりはおそらくそうなるかも?)。
コシヒカリが1Kg7,000ドル(麻薬と同じ利益率を目指すなら3,000ドル程度で十分ですが)になって世界中で取引されるようになった時、暴力団の新たな資金源として魚沼産コシヒカリが浮上するのである。
そういう世界情勢になった時、日本の若者は現在のようにハイテク産業に就職する必要がなくなるので大学に行く必要もなくなる。当然、頭は悪くてもいいし勉強が出来なくても問題ない。
小学生の頃から塾に通う必要もない。
企業ももうハイテクに巨額の投資をすることをやめて、衰退しきった農村に再びローテク投資をし、高品質なブランド食料を生産して世界中に売った方が儲かるかもしれないのである。

実は筆者は明治以来150年かかって転換した産業構造を再び見直す時に来ているのではないかと考えている。即ち、明治の富国強兵から始まって、戦後の高度 経済成長で完成した第一次産業(農業、漁業、林業)から第二次(工業)、第三次(サービス業)への転換をもう一度第一次産業へ戻していいのではないかと考 えている。
なぜなら、日本が担ってきた第二次産業や第三次産業の役割は、後から追い上げてきた中国やインドが再び担うからである。日本は一足先に産業構造を変化させ て、工業製品やハイテクで儲けた彼等にクオリティの高い高級農業製品を売りつけるのである。そうすれば、現在、社会問題になりつつある、ニート並びにフリーターの層を全て貴重な労働力として吸収できるようになるはずである。
そのためには小泉改革で唯一改革できなかった日本の暗部である農水省と農協にメスを入れなければならない(ほんとは無能な文部科学省も問題なのですが)。
農業を再び復活させることと農協を解体させることは恐らく同じ行為になると筆者は考えている。それは日本に最後に残った共産主義的特権階級組織(ノーメンクラツーラですな)の終焉を意味する。
そうしないと魚沼産コシヒカリが世界中で約300倍の値段で取引されると知ったヤクザが非合法に農業を復活させて、東南アジアやアフリカから不法移民を入国させて、人のいなくなった農村に入り込んでコミュニティを作るようになるかもしれないのである。

いつも思うが、既得権にしがみつく役人と関連団体は病気である。
この話を荒唐無稽なホラ話ととるか、トフラーばりの未来への予言ととるかは皆さんの見識にかかっているのである。ちなみに、ヤクザのシノギは以下のような条件をクリアしなければならない。

非常に儲かる(即ち、売差が出る)
堅気の人間が手を出せない(つまりは競争相手の少ないということですが)非合法な領域である


昨年、農水省の新卒キャリアに初めて東大卒がいなくなったというニュースがあった。
東大卒にさえ見放される矛盾した仕事をする官庁の人材は確実に劣化しているといえよう。
日本の農業政策は農民や農家のためではなく、農協のために機能しているのが現状である。
それはあたかも道路工事は国民のためでなく、土建屋や道路公団のために運営されたのと同じ構図である。
この改革は小泉政権がやりきれなかった宿題である。

2050年の未来、ヤクザが米を作る時代がやってくるかもしれない。